交通事故

交通事故

藤沢総合法律事務所で取り扱う交通事故に関する業務について、ご案内します。

発生から解決までの流れ病院に関して健康保険について保険会社の打ち切り後遺症傷病別後遺障害等級認定保険会社の提示額解決方法弁護士費用特約についてご紹介します。

交通事故に関することでお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。

 

交通事故の発生から解決までの流れ

交通事故発生

すぐに警察へ連絡しましょう。
ケガをしている場合は病院で治療を受けて下さい。
事故直後は痛みを感じなくとも、後で痛みを感じる場合があります。 ですので、必ず病院に行ってください。事故から1週間経過して病院にいくと、事故との因果関係を否定される危険があります。当初物損事故として処理されていた場合には、診断書を警察に持参して、人身事故に切り換える必要があります。

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治療(入院・通院)

加害者が任意保険に加入している場合、治療費は保険会社により支払われることが通常です。

通院期間が長くなると、保険会社から治療の打ち切り等をもちかけられるようになります。

治療を継続するかどうかは、個人の症状に合わせて医師が判断するものですので、保険会社のいいなりになる必要はありません。
ただ、症状と照らして、あまりに長い通院期間は、後々裁判での争いとなったときに、必要な治療期間とは認められない可能性もあります。たとえば頸椎症の場合は6か月程度と考えられており、それを超える期間は認められないこともあります。

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症状固定

症状固定とは、治療を行っても、それ以上症状の改善が期待できなくなった状態をいいます。症状固定をすると、その後の治療費は請求できなくなります。

症状固定時期は医師が判断します。
もし症状が残ってしまった場合には、後遺障害の問題となります。

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後遺障害等級認定

治療をしたけれども、後遺症が残ってしまったという場合、後遺障害の等級認定手続を行うことになります。
交通事故による後遺障害等級認定手続は、「損害保険料率算出機構」(損保料率機構) という機関が行います。

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示談交渉

保険会社が被害者ご本人に提示する賠償額は任意保険基準となります。
一度示談をしてしまうと、取り消すことはできません。
後々後悔しないためにも、示された賠償額が相当かどうか、一度弁護士にご相談されることをおすすめします。
また、弁護士に依頼をすると、裁判所基準を前提として交渉を致しますので、賠償額が増額される可能性が高くなります

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示談成立

交渉の結果、賠償額の合意ができれば示談成立となり、保険会社から損害賠償金が支払われます。

訴訟提起

交渉の結果、合意に至らず、示談が成立しなかった場合には、訴訟提起等法的な手段により解決を図ることになります。

 

病院に行く時の注意点

損害賠償を請求する際には、交通事故による怪我の程度に応じた損害賠償金を請求することになります。

その「怪我の程度」は、医師の診断書やカルテの記載、CT、MRIの画像を見て、判断していくことになるので、「怪我の程度」を正しく記載し、適切な部位のCT、MRIを撮影してもらわないといけません。 そのためにも、交通事故による怪我や痛みがある場合は、それをはっきりと伝えることが大切です。 さらには、例えば、もともと腰が悪い方が交通事故に遭って、さらに腰痛が悪化したというような場合も、交通事故によってどれだけ症状が悪化したのかということをしっかり伝えないといけません。 医師によっては、この点をしっかり話さなければ、もともとの腰痛の痛みなのか、交通事故による怪我の痛みなのかがわからず、診断書にも腰痛の悪化を交通事故による怪我と記載してくれないことがあります。こうなってしまうと、腰痛が悪化したとしても、その分の損害賠償の請求が難しくなってしまいます。

もっとも、被害者が怪我の程度をしっかり伝えていても、それを十分に聞いてくれない医師もいます。 特に、もともと悪いところがある場合には、痛みを訴えても、交通事故とは関係がないと決めつけられてしまう場合もあります。こういう場合は、十分に話を聞いてくれない病院には見切りを付けて、ご自分で患者の話をしっかり聞いてくれる意思を探すことが大事です。

病院では定期的に診察を受け続けましょう

病院での治療が順調に進み、症状がある程度回復してくると、まだ完全に回復したわけではないのに、勝手な判断で通院を取り止めたり、仕事上の都合などが重なって、予定した診察日に病院に行けなくなったことがきっかけとなって、通院が不定期になってしまう方もいます。

場合によっては、実際には後遺障害が残っているのに、数ヶ月間通院をしていない期間があるために、因果関係が否定されて、その後遺障害についての損害賠償ができなくなるということもあります。
そのため、定期的に病院に通うことが必要です。

整骨院に通院する場合のリスク

整形外科の場合、遅くても夜の7時ぐらいまでの診療時間なので、仕事をお持ちの方は定期的に通院することが困難なことがあります。そこで、夜遅くまで診療している整骨院に通う方がいらっしゃいます。

しかし、整骨院、針灸、マッサージなど東洋医学における治療は医師の指示がない場合、施術の必要性、有効性が認められないと、期間、費用については限定される場合があります。

また、医師でなければ診断書の作成はできないので、全く医師の治療を受けず、整骨院にしか通院していない場合は、損害立証上の困難を生じます。 また、事故直後には医師の治療を受けている場合も、その整骨院での治療を受け、長期間経過後、医師に後遺障害診断書の作成を依頼しても、その作成を断られる場合もあります。 そうなりますと後遺障害認定手続に支障を生じますので、定期的に医師による治療を受けることが必要になります。

このように整骨院に通院する場合はリスクを伴うことがあることに注意する必要があります。

交通事故に健康保険を使用することは可能

治療費は最終的には医療機関に支払われるもので、慰謝料や逸失利益のように被害者の手元に入るものではありません。しかし、加害者が自賠責保険しか入っていない場合、傷害の限度額は120万円までなので、健康保険を使用しないと、あっという間に治療費だけで上限を超えてしまうこともあります。
その場合、超えた治療費や慰謝料等については加害者に対して請求することはもちろん可能ですが、自賠責保険にしか入っていない人のほとんどは支払い能力に不安があるので、実際に回収するのは困難です。この場合、被害者が人身傷害保険に入っていればそこから補償してもらえればいいのですが、加入していない場合は、満足な補償を受けられないことになります。

また、加害者が任意保険に加入していても、健康保険を使用した方がよい場合があります。
例えば、治療費500万円、その他の損害500万円、損害額の合計1000万円というケースで、過失割合が70(加害者)対30(被害者)だったとします。
このとき、被害者は、加害者に対して、加害者の過失の割合に応じた金額、つまり1000万円×70%=700万円の損害賠償を請求することができます。
このケースでは、相手の保険会社は、示談するまでの間に、病院に治療費全額の500万円を支払ってしまっているので、示談金額は、過失相殺後の損害額700万円から支払済みの治療費500万円を差し引いた残りの200万円となります。

これに対し、健康保険を使った場合には、保険診療となり、治療費が自由診療のときの半額で済むことになります。

上の例で言うと、治療費が250万円になり、そして、健康保険の自己負担割合は3割ですから、自己負担額が75万円で、残りの175万円を健康保険組合に負担してもらうことになります。
このときは、被害者の損害額は、治療費75万円(175万円は健康保険組合に払ってもらっているので)、その他の損害500万円、損害額の合計575万円となります。
この575万円に過失相殺すると、575万円×70%=402万5000円となります。 ここから被害者が自己負担部分として支払った75万円を差し引いたとしても、被害者の手元には327万5000円が残されることになり、相手の保険で治療費を支払ったときと比べると、127万5000円分だけ受け取る金額が大きくなります。
なお、自己負担額の75万円については、加害者が任意保険に加入している場合は、任意保険会社に払ってもらえばよいことになります。
このように被害者が長期間の入院を伴い治療費金額が高額にのぼることが予想され、かつ、被害者の過失も大きい場合は、健康保険を使用することが望まれます。

ところで、病院で治療費を支払うときに、健康保険を使いたいと言うと、病院から「交通事故には健康保険は使えません。」と言われることがありますが、これは間違いです。
病院側がこのようなことを言うのは、誤った知識をそう思い込んでしまっているのかもしれません。
また、相手の自動車保険を使えば、自由診療として、健康保険を使ったときよりも多額の治療費を請求できるために、健康保険を使わせたくないのかもしれません。
どちらにしても、病院から健康保険は使えないと言われたとしても、自分は健康保険を使いますと言ってしまって構わないのです。
それでも健康保険を使うことに反対するような病院は、患者さんに親身になってくれる病院とはいえないでしょう。このような場合は治療する病院をかえることが必要です。

ただ、どの段階で健康保険に切り替えたり、病院をかえればいいのか判断に迷うこともあります。
この場合、弁護士に相談することをおすすめします。費用がかかるのではないかと心配される方もいらっしゃると思いますが、弁護士費用特約に加入されている場合は、その特約を使って弁護士に相談してください。この特約は何も法的手段をとる場合に限定されているのではありません。示談交渉や法律相談にも使えるのです。

保険会社から治療の打ち切りを言い渡された時の対応

交通事故の怪我の治療を受けていると、完治するか、完治せずに何らかの障害が残り、これ以上治療を続けても完治は望めない状態なのかが決まります。
前者を「治癒」といい、後者を「症状固定」といいます。

両者の違いは、後遺障害が残っているかどうかという点になりますが、どちらの状態であっても、これにより治療は終了となり、それ以降の治療については、原則として、加害者に対して治療費を請求できない、つまり、相手の保険会社に治療費を払ってもらうことができなくなります。

「治癒」「症状固定」の時期は、基本的には主治医の先生が決めることになり、主治医の先生が治療が必要だと判断し続けている限りは、相手の保険会社としてもその判断に従って、治療費を支払い続けることになります。

しかし、治療の開始からある程度の期間がたつと、相手の保険会社から主治医の先生に対して、そろそろ「治癒」か「症状固定」の時期なのではないかという打診があり、これがきっかけとなって、「治癒」「症状固定」と診断され、治療の打ち切りとなるケースもあります。

その意味で、治療の終了時期の決定には、保険会社の意向が反映されることもありますので、ご自分でまだ痛みがある、徐々に回復してきているといった自覚があって、治療の打ち切りに不安がある場合には、それを主治医の先生と相手の保険会社の担当者にはっきり伝えて、治療を続けてもらうように努力することも大切です。

後遺障害が残った場合

主治医の先生が「症状固定」と判断して、治療が打ち切られると、通常であれば、相手の保険会社が自賠責保険の損害保険料率算出機構という機関に申請して、その「後遺障害」がどの程度の障害であるのかを認定してもらうことになります。

この認定は、その障害の程度によって、1級から14級までの等級に分けられています。
後遺障害等級の認定申請があった場合、損害保険料率算出機構は、主治医の先生が書いた「後遺障害診断書」という特別の様式の診断書や、場合によっては、病院のカルテやMRI画像などを取り寄せて等級の判断を行っていくことになります。

その意味で「後遺障害診断書」の記載内容は、後遺障害の等級認定にとって、非常に重要な書類であり、例えば、交通事故による痛みや痺れといった神経症状が残ったという場合、適切な後遺障害の認定を得るためには、神経の異常を調べるための「神経学的検査」の結果や、CT、MRIなどの必要な画像検査の結果の結果が「後遺障害診断書」に正しく記載され、患者さんの訴える自覚症状の発生が医学的な裏付けられることが必要となるのです。

そうすると、まず、患者さんの訴える自覚症状について、後遺障害診断書に記載されていることが必要です。
ところが、患者さんがどれだけ症状を訴えても、患者さんの話をちゃんと親身になって聞いてくれない医師であれば、必要な症状を診断書に書いてくれないことがあります。

また、「病院に行くときは」のところでも説明しましたが、患者さんが交通事故による痛みを訴えていても「神経学的検査」や画像検査をしてくれなかったというケースも実際に存在するのです。
不十分な内容の「後遺障害診断書」が原因で、本来、認定を受けるべき等級よりも低い等級にしか認定されなかったという例は残念ながらあります。

また、症状固定時期は本来、主治医が決めることですが、保険会社と相談してその結果を知らせてくれと、保険会社に丸投げするような信じられない医師もいます。
そのため、被害者にとっては、患者の話を親身に聞いてくれる医師を探すことも大事だということになります。

広い駐車場があるから、近所にあるからという理由だけで主治医を決めてはいけません。
治療の初期段階で患者さんを見下した態度をとったり、話を聞いてくれないような医師であれば、迷うことなく主治医をかえてください。当事務所では良心的な医療機関をいくつか把握していますので、ご相談下されば情報提供することは可能です。

認定された後遺障害等級に不満があるとき

後遺障害等級の認定自体は、1ヶ月程度(眼科関係では2ヶ月以上かかることもあります)で結論が出て、認定結果の理由の記載された通知書が送られてくるのが大半ですが、この認定結果に不満がある場合は、損害保険料率算出機構に異議申立という不服申立手続を行うことができます

後遺障害等級の認定は、その認定基準が明確に決められていて、その認定基準をクリアしない限りは、後遺障害の認定が下りることはないのですが、この認定基準はかなり厳しい基準であることから、この認定基準をクリアするためには、「後遺障害診断書」に適切な検査結果が記載される必要があり、単に痛みを訴えているという自覚症状の記載があるだけでは足りず、その自覚症状の発生を裏付ける神経学的検査や画像検査の結果も一緒に記載されている必要があります。

ところが、このような後遺障害の認定基準というものは、すべての医師が精通しているわけではなく、親身になって治療をしてくれる優秀な先生であっても、この認定基準の知識に必ずしも詳しくないために、「後遺障害診断書」の記載としては不十分であり、そのために、後遺障害等級に認定されないということがあるのです。

後遺障害等級に該当するのかどうかによって、損害賠償の示談額は、少なくとも数百万円単位で大きく異なってくるので、このように後遺障害等級が認定されなかった場合には、異議申立を行う必要が特に高いと言えるでしょう。

もっとも、等級認定の異議申立を行ったとしても、その異議申立が必ず認められるわけではありません。
むしろ、異議申立が認められず、認定結果が変わらないケースも多く、被害者が一人で認定等級の結果を変えることは、難しいのが現状です。

先ほども説明したとおり、後遺障害等級は、認定基準が明確に決められているので、異議申立を行うときには、この認定基準をクリアするように、主治医の先生に「後遺障害診断書」を書き直してもらう、主治医以外の先生にカルテを見せて「意見書」を書いてもらう、新たな検査をするなどして、追加資料を準備することが不可欠です。

そのため、等級認定の異議申立には、後遺障害等級の認定基準や整形外科の知識に精通した弁護士などの専門家のサポートが不可欠です。

ただし、弁護士のサポートを得て異議申立を行ったとしても、必ず異議申立が認められるわけではありません。
異議申立てが認められなかった場合は、民事裁判の中でより高い等級に相当する後遺障害を負っていると認めてもらうほかありませんので、民事裁判を起こすかどうかを、弁護士と相談した上で、慎重に判断していくことになります。

労災保険の認定と自賠責保険の認定が食い違うとき

勤務中・通勤中の事故で後遺障害が残ったときに、労災保険自賠責保険の双方の後遺障害等級の認定を受けることになります。

自賠責保険では、労災保険と同じ認定基準を使っているので、2つの認定は一致するはずですが、実際には、2つの認定結果が異なることもあります。
そして、認定結果に食い違いが生じる場合には、労災保険の認定の方が高い認定結果になることが圧倒的に多いです。

この原因は、労災保険では、顧問医の医師が被害者を診察して等級認定を行っているのに対して、自賠責保険では、医学の専門家ではないはずの損害保険料率算出機構の担当者が診断書とMRIなどの画像だけを見て判断しているからなのではないかとも言われています。

このような場合には、労災保険の認定結果を利用して、自賠責保険の後遺障害等級の異議申立を行うことが有効です。

傷病別後遺障害等級認定

 

むち打ち損傷

むち打ち損傷とは、追突の際の衝撃などで、頚部・肩甲部・上肢等に痛みや痺れをもたらすもので、頚部捻挫、頚部挫傷、外傷性頚部症候群などと診断名が付されたものを指します。
腰部捻挫等で、腰部・臀部痛、下肢痛や痺れ等を生じる場合も、症状及び発症原因の共通性から、便宜的にここに含んで説明します。

むち打ち損傷等の場合、後遺障害等級が非該当になることも多く、認定されたとしても14級にとどまることがほとんどです。14級が認定されるためには、①事故態様が当該症状を発生する程度であること、②事故当初から病院への通院を継続していること、③事故当初からの症状の訴えが、連続・一貫していることの全ての要件を満たしていることが最低限必要です。

<対策>
そこで、②の要件を満たすためには受傷後少なくとも3か月程度は、あまり通院間隔を空けずに、症状の程度や医師の指示にしたがい、少なくとも週に1回程度は通院することをお勧めします。
また、③については、まず、事故直後の痛みや痺れ、関節の動かしにくさなどは、必ずすべて医師に訴えて、カルテに記載してもらうことが大切です。
そして、頚や腰の可動域に問題があれば、可動域を測定してもらい、これもカルテに記載してもらってください。

また、痛みや痺れ等の症状は、日によって軽くなったり重くなったりします。
ですので、診察日その日だけたまたま痛みがなかった場合でも、医師に、軽率に「治った」「調子がいい」などと言うのではなく、ある程度長期的な症状を伝えることが肝要です。

骨折

骨折後の後遺障害の対象は、骨の短縮・変形・偽関節化等で、その内容は明らかであり、後遺障害の認定に際して問題になることはさほど多くはありません。

しかし、骨折部周辺の関節の可動域に制限が生じたものの、骨の癒合が十分得られ、骨の構造上、関節可動域に影響がない場合は、拘縮つまりリハビリ不全として後遺障害とみなされないことが多々あります。

ところが、実際には、骨折部周辺筋腱類などの軟部組織や神経が骨折に伴い損傷されたことで、関節可動域に制限が生じたり、痛みや痺れを生じていることもあります。

そこで、交通事故により骨折した場合、骨の癒合が完全に生じ、骨の変形等による直接の後遺障害の認定は受けられなくても、関節可動域の制限や痛み・疼痛などの神経症状等で12級以上の後遺障害等級の認定を受けられるか検討することが必須です。

<対策>
関節可動域の制限や神経症状が生じやすい関節内骨折や関節に近位の骨折の場合は、骨折部周囲の軟部組織への損傷の可能性を確認したり、関節内の微小骨片の存在を見落とさないために、CTなどを事故直後に撮影することが必要です。
また、肩付近を骨折した場合であれば腱板や関節唇、膝付近を骨折した場合であれば半月板や靭帯、手足関節付近を骨折した場合であれば靭帯等など、関節の可動のために必須な軟部組織が損傷していないかを確認するため、事故直後にMRI画像を撮影してもらいましょう。

高次脳機能障害

高次脳機能障害とは、頭部の外傷により脳の組織が広範囲に損傷を受け(びまん性脳損傷、びまん性軸索損傷などという診断名がつけられます)その結果生じた認知障害や人格障害のことをいいます。
高次脳機能障害と診断されるためには、①頭部外傷があること、②事故後に意識障害が存在し、かつ、その程度が深刻であること、③脳萎縮が認められること、④認知障害・人格変化が顕著であることなどが要件とされます。

<対策>

専門医の治療

高次脳機能障害は比較的最近研究が進んだ症例であり、医師間での認知度もそれほど高くなく、脳神経科・神経科以外の専門外の医師にとってあまり馴染のないこともあります。そのため、主治医の理解が不十分と感じたら、専門医を紹介していただくなどして、専門医の治療を受けてください。

頭部の受傷を示す診断書

高次脳機能障害は、脳損傷を原因としますので、事故により頭部を打ち付けた場合、頭部に強い衝撃を受けた場合などでは、その旨を必ず医師に告げ、診断書等に頭部への受傷を示す記載をしてもらってください。

MRI・CTの撮影

脳損傷を示す脳室・脳溝の拡大や脳萎縮等は事故後進行し3か月程度で完成するとされており、事故直後に撮影された画像では捉えることができませんし、これらが急激に進行することもありますので、適切な時期に画像の撮影により、その変化を捉えていくことが大切です。

意識・記憶障害の有無・程度の記載

事故後意識障害・記憶障害が生じた場合、脳損傷を示す有力な徴候となりますので、事故後、頭部を受傷したことにより、意識障害や記憶障害が生じた場合、その内容及び程度、継続時間等を必ず医師に告げ、診断書等に記載していただいて下さい。
また、意識・記憶障害が継続している場合、「グラスゴーコーマスケール(GCS)」もしくは「ジャパンコーマスケール(JCS)」により意識レベルを測定し、その数値を記載してもらって下さい。

日常生活報告書の作成

自賠責などの後遺障害等級認定機関にも、認知能力・性格の変化を伝え、事故後高次脳機能障害を発症したことを認識してもらう必要があります。
そこで、ご家族など事故前の被害者の状況を良く知っている方に、「日常生活報告書」等に、被害者の事故前後の認知能力及び性格の変化を詳細に記載することが必要です。

保険会社の提示金額は常に低いのか?

損害賠償額の基準について、自賠責基準、任意保険会社基準(任意保険会社の示す基準)、裁判基準があり、一般的に自賠責基準や任意保険会社基準は裁判基準より低いと言われています。

確かに、慰謝料や逸失利益に関しては裁判基準より任意保険会社基準の方が低いのは間違いありません。
だからといって、保険会社の提示金額をけって訴訟に持ち込むのは早計です。

というのも、慰謝料や逸失利益の金額が一見低くても、被害者に過失があるにもかかわらず、保険会社が過失相殺しないで提示することがあるからです。

これは自賠責が被害者に重過失がない限り、過失相殺しないことに起因します。
裁判になれば、当然、保険会社は過失相殺を主張してきます。過失相殺は損害額すべてに及びますから、保険会社が医療機関に支払った治療費も過失相殺の対象になり、当初の提示金額に比べて大幅に減額されるという悲惨な結果になる例もあります。

また、主婦の休業損害については5,700円(日)×通院日数が保険会社から提示されることが多いのですが、訴訟になれば、本当に家事労働が困難であったかの立証が求められますが、この立証もなかなか難しいものがあります。

さらに着衣損害についての保険会社の提示額はかなり甘いものがありますが、訴訟になれば着衣の購入時期や購入金額をレシートなどで証明しなければなりません。おおかたの人はレシートなど持っていません(というよりも、私の経験ではお持ちの方は今まで一人もいらっしゃいませんでした)から、立証できず、下手をすると着衣損害がゼロという結果になることもあります。

また、日頃は被害車両を買い物に使っている場合でも、代車料については2週間程度であれば保険会社は払ってきますが、裁判基準では買い物目的で使用している場合は原則として代車料は認められません。

以上のように、保険会社の提示金額は常に低いわけではなく、慎重な見極めが必要となります。

交通事故の解決方法

交通事故の解決には以下の3つの方法があります。

  • 示談(話し合い)による解決
  • 紛争処理センター(財団法人交通事故紛争処理センター)による解決
  • 訴訟による解決

これらの解決方法には、それぞれに「メリット」「デメリット」がありますが、その判断基準は、事故態様や被害の内容によって大きく異なります。

示談

保険会社と被害者側の話し合いによる解決方法です。

  • メリット
    時間をかけず、早期に解決することができます。
  • デメリット
    保険会社の基準による解決が原則となりますが、場合によっては、裁判所基準の半分以下、極端な場合は1/3以下という低い金額での解決になることも少なくありません。

 

紛争処理センター

通称「フンセ」と呼ばれている公益法人を通して行う解決方法です。
公正・中立の立場に立った弁護士や法律の専門家により、交通事故の相談や和解のあっ旋、審査が行われています。

  • メリット
    示談より時間はかかりますが、弁護士を自費で依頼することなく誰でも自分で申し立てることができ、「損保基準」より高い「裁判基準」で解決することができます。また、厳密な立証を必要としません。
  • デメリット
    医学や物理学上の点が争点になる場合や事故態様についての双方の主張が大きく食い違う場合はなじみません。また、遅延損害金(損害が発生した時から解決するまでの期間に対して、年5%の利息が加算される)も取れませんので、解決まで長期化が予想される難しい事案にはなじまない方法といえるでしょう。

 

訴訟

民事裁判を起こして、双方の主張をぶつけ合い、裁判官の判断を仰ぐ解決方法です。弁護士を訴訟代理人に立てて争うのが一般的です。

  • メリット
    期日を重ねて審理しますので納得が得られる解決ができます。
    また、判決を勝ち取れば遅延損害金のほか、弁護士費用も認められます。
  • デメリット
    示談や紛争処理センターと比べると、解決までの期間が長くなります。

 

当事務所では事案の性質に応じて、よい解決方法を選択いたしますので、ご安心ください。

弁護士費用特約について

弁護士費用特約は、これだけを利用しても保険の等級は下がりません。
ただし、被害者側にも過失があり、加害者に対して損害賠償義務を負うときに、その賠償金の支払に対物保険を使った場合には、保険等級が下がります。

また、裁判になる前の段階で、示談交渉だけを弁護士に依頼したいという場合にも弁護士費用特約を利用することができます。
弁護士費用特約を利用する場合に依頼する弁護士は、自分の契約している保険会社から紹介してもらうこともできますし、自分で捜してきた弁護士に依頼することもできます。

どちらの弁護士がいいということは一概には言えないと思いますが、いずれにしてもこちらの話をしっかり聞いてくれて、明確な方針を立てて解決に向かってくれる弁護士を依頼することが大事です。

ご自分の保険契約を見直してみて、弁護士費用特約に加入されている場合には、是非、弁護士費用特約が積極的に利用されることをお勧めします。

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